予約が押す・空きすぎるを防ぐ|お客様ごとに施術時間を覚える予約枠の考え方
カット60分、カラー90分——メニューには標準の時間を決めてあるのに、実際はお客様によってずいぶん差が出ませんか。毛量の多い方、いつも相談が長くなる方。予約表のうえでは収まっているはずが、現場では押して、次のお客様をお待たせしてしまう。
先に結論です。予約枠は「メニューの標準時間」ではなく「そのお客様の実績」で取ると、押しも空きすぎも減ります。 この記事では、なぜ標準時間だけでは無理が出るのか、手作業でやる場合の工夫、そして会計の記録から自動で学習する仕組みまでを順に説明します。
なぜ予約が押すのか——標準時間は「平均」でしかない
メニューの所要時間は、いわば平均値です。ところが実際の施術時間を決めるのは、メニューよりお客様側の条件であることが多いもの。
- 毛量・髪の長さ・くせの強さ
- 白髪染めの染まりにくさ、履歴の複雑さ
- カウンセリングや相談にかかる時間
つまり「カット60分」のなかに、実際は45分で終わる方と80分かかる方が混ざっています。80分かかる方を60分枠で受ければ必ず押しますし、押した分は次のお客様の待ち時間になります。逆に45分で終わる方に余裕を見すぎると、埋められたはずの枠が空きます。
手作業でやるなら——カルテに実際の時間を書き残す
仕組みはシンプルです。施術が終わるたびに、実際にかかった時間をカルテにメモしておき、次の予約を取るときにその時間で枠を押さえる。これだけでも効果はあります。
ただ、続けてみると壁に当たります。
- 忙しい日ほど記録が抜ける
- スタッフごとにメモの場所や書き方がばらばらで、共有されない
- 「たまたまその日だけ長かった」のか「いつも長い」のか、記憶では判別できない
とくに3つ目が厄介です。1回長かっただけで枠を伸ばすと、こんどは空きすぎのほうに振れてしまいます。
自動で学習する仕組み——会計の記録がそのまま材料になる
この記録と判別を自動でやってくれるのが、所要時間を学習する予約システムです。たとえば SalonWise では、会計を済ませるとその来店の実際の所要時間が自動で記録され、お客様ごとの予約枠に反映されていきます。
学習のしかたには、押さえどころがあります。
| お客様のパターン | 枠の動き |
|---|---|
| 毎回コンスタントに20分長くかかる方 | 2〜3回の来店で、その方の枠だけ自動で長くなる |
| たまたま1回だけ長かった方 | 枠は変わらない |
| 日によって長さがばらつく方 | 枠は変わらない(確信が持てるまで動かさない) |
ポイントは「たまたまか、いつもか」を統計的に見分けることです。1回の偶然では動かず、傾向がはっきりした方にだけ効く。これが手作業のメモとのいちばんの差です。
安全側の設計も大切です。
- 枠を標準時間より短くはしない(読み違えて詰めすぎるより、余裕を残すほうが安全)
- 予測は5分刻みで切り上げる(迷ったら気持ち長めに取り、次のお客様と被らせない)
- カットとカラーを同時にした来店は、メニュー別に割らず1回の来店全体で測る(どのメニューで押したかは正確に分けられないため)
具体例——「いつも80分かかるAさん」の場合
カットの標準時間が60分のお店で、Aさんは毎回80分ほどかかるとします。
- 1回目・2回目の来店で、会計時に実績(80分前後)が記録される
- 「Aさんはいつも長い」と判定されたら、次からAさんの予約は自動で80分枠に
- Aさんの後ろに入ったお客様は、時間どおりに案内できる
Aさん側には何も変わって見えません。予約の画面も案内もそのままで、お店の予約表だけが現実に合っていきます。
なお、枠が現実に合っていても、予約の入口が複数あって予定表がばらばらだと結局重なります。土台として二重予約を防ぐ仕組みづくりもあわせて整えておきましょう。
よくある質問
お客様に「あなたは長め」と伝わってしまいませんか?
いいえ。変わるのはお店側の予約枠の長さだけで、お客様の画面や案内には出ません。
逆に、早く終わる方の枠は短くなりますか?
なりません。標準時間を下回る調整はせず、押す方向のずれだけを吸収します。短くする判断は読み違えたときの影響が大きいため、システムにまかせず、お店の判断でメニュー時間そのものを見直すのが安全です。
新規のお客様はどうなりますか?
実績がないうちは、メニューの標準時間で枠を取ります。来店を重ねるほど、その方に合った枠に近づいていきます。
まとめ
- 予約が押す原因の多くは、メニューの標準時間と「その方の実際」のずれ
- 実際の所要時間を記録し、次の予約枠に反映するだけで押しは減らせる
- 手作業の壁は「記録が続かない」「たまたまか、いつもかを判別できない」の2つ
- 自動学習は、傾向がはっきりした方にだけ効き、枠を短くはしない安全側の設計が肝心
- こうした仕組みを含む機能の全体像はできること一覧にまとまっています